最終更新日:
闇金の口座買取はリスクしかない|口座凍結は全銀行に及び、逮捕者も
- この記事の監修者
- アクティブ法務事務所 代表
室﨑泰成 司法書士
もくじ
闇金業者の口座買い取りの手口
闇金業者は、顧客に口座を郵送する様、要求することがあります。
例)「信用を回復させる為に口座を契約して郵送して欲しい」と闇金業者が顧客に対して口座を譲渡させる。
例)「支払いが出来ないのなら代わりに口座を契約して郵送してくれ」と闇金業者が口座を譲渡させる。
例)闇金業者が「口座の譲渡と引き換えに数万円の報酬を支払う」と口座の売買を持ちかける
闇金業者は、「何かあったら口座を落としたと言えば良い」などと口座を譲渡する様に甘い言葉で顧客を誘導します。
しかし、闇金に口座を渡してしまうことで、日本国内で銀行口座が二度と使えなくなる恐れがあります。
闇金に口座を渡す行為は犯罪です
新規で口座を契約して闇金に渡す行為⇒銀行に対する詐欺罪が成立します
元々持っていた自分の口座を闇金に渡した場合⇒預金口座等の不正利用防止法の違反に該当します。
預金口座の売買⇒マネーロンダリング法で禁止されています。
預金口座等の不正利用防止法の施行について(金融庁HPより)
1.次のような者は、50万円以下の罰金に処せられます。
(1)他人になりすまして預貯金契約に係る役務の提供を受ける等の目的で、預貯金通帳等を譲受け等した者。
(2)相手方に(1)の目的があることを知って、(1)の者に預貯金通帳等を譲渡し等した者。
(3)通常の商取引又は金融取引その他の正当な理由ないのに、有償で、預貯金通帳等を譲受け等、又は譲渡し等した者。
金融庁HPより引用:預金口座等の不正利用防止法の施行について
闇金業者は「警察には落としたと言えば大丈夫」などと、軽い気持ちにさせるように上手く誘惑をしますが、闇金業者に口座を渡す行為自体が、違法であり、犯罪です。
口座を渡すと逮捕される可能性がある
闇金業者に口座を渡した者は、ある日、口座が凍結されたということを銀行からの連絡で知ることになります。
口座凍結の理由は、闇金業者によって利用されたり、振り込め詐欺の口座として使われるなどです。
その後、警察からの連絡が入り、口座を譲渡した者は取調べを受けることになり、最悪の場合逮捕されてしまう恐れがあります。
実際に逮捕されている事例もあります
闇金に対して口座を譲渡・売買した者が警察から取り調べを受け、逮捕、起訴されてしまう事例も発生しています。
取調べを受けた結果、警察官の指導を受けて帰してもらえる人も居れば、逮捕、起訴されてしまう人も居ます。
口座を闇金に渡すと二度と口座が作れなくなる
闇金に対して口座を渡してしまい、その口座が闇金業者の営業の為に使われたり、振り込め詐欺に使われたりすると、銀行が口座を凍結させます。
その後、主に警察の依頼に基づいて「振り込め詐欺救済法に基づく公告」に使われた口座や、名義が掲載されます。
参考リンク
振り込め詐欺救済法に基づく公告:http://furikomesagi.dic.go.jp/
また、全国銀行協会(通称:全銀協)によって、口座凍結の名義人のリストが全ての銀行と共有されます。
その為、一度闇金に口座を渡して口座凍結になってしまった者は、日本国内で銀行口座を持つことが、ほぼ出来なくなってしまいます。
全国銀行協会による、凍結口座名義についての取り組み
さらに、平成21年1月からは、都道府県警察において凍結依頼を行った口座の名義人に係る情報を警察庁が集約して作成した「凍結口座名義人リスト」を会員銀行に展開し、各銀行において、リストに登載された名義人から新規の口座開設の申込みがあった場合には、これを謝絶するとともに、最寄りの警察署へ情報を提供することで、警察当局による被疑者検挙の取組みに協力するとともに、振り込め詐欺等の温床となる不正な口座開設の防止対策を一層推進した。
「金融犯罪の被害防止等に向けた銀行界の取組みと課題」より引用全国銀行協会PDF資料
口座の凍結を解除する方法は無いのか?
法律家(弁護士や司法書士)から警察庁へ、警察庁から全銀協に連絡してもらい、口座の凍結の名義から削除してもらうことで、理論上は口座凍結の解除の道すじが出来ます。
しかし、この手続きは法律家でもかなり難しく、手続きが長期に渡ってしまう傾向が有るようです。
また、確実に口座凍結を解除出来るというものでもなく、法律家あっても極めて難しい問題です。
つまり、一度口座凍結されてしまうと、日本全国で口座が作れなくなり、その解除は「ほぼ出来ない」と考えられます。
「新銀行東京」は、全銀協に加盟していない銀行なので口座凍結後も新規で口座が作れる可能性があります。
しかし、勤務先では給料の支払い用の金融機関が指定されていることが殆どなので、生活に支障があることには変わりありません。
闇金口座トラブルの対処方法
闇金に口座を要求されて、まだ口座を渡していない場合
闇金に口座を渡すと、今後の人生に大きな影響を及ぼします。
口座は決して渡さない様にお気をつけ下さい。
早めに闇金業者との関係を断つこと
闇金業者との関わりを断たなければ、口座の他にも「スマホを契約して渡せ」という要求をされたりと、何かと犯罪に巻き込まれ今後の人生が生きにくくなる可能性があります。
闇金業者との関わりを断つ為には、闇金に強い法律家(弁護士や司法書士)を介入させる必要があります。
闇金に強い法律家が介入した場合、最短で即日で闇金業者が引いていくことが多く、解決は難しいものではありません。
参考記事:闇金に弁護士が介入したその後、嫌がらせは無い?弁護士に聞いてみた。
むしろ、銀行に対する詐欺の加害者ではなく、闇金から騙された被害者であることをアピールすることに繋がります。
闇金に口座を送ったばかりの人の対策
口座を郵送して、1週間後に口座が凍結され、警察から取り調べを受けたという声も上がっています。
なお、送ってしまった口座については、まだ凍結まで間に合う可能性がありますが、なるべく早く口座を解約する必要があります。
そして闇金業者との関わりが続いていると、次々に軽犯罪に巻き込まれてしまい、人間社会での生活が難しくなってしまいます。
早急に闇金業者との関係を断つことも考えなければなりませんので、闇金に強い法律家へ依頼を検討した方がよいでしょう。
既に口座凍結された人の対策
残念ながら、闇金に不正利用された口座の凍結解除は法律家でも不可能に近い問題です。
「弁護士」に依頼するか、もしくは金融庁、警察、全銀協に問い合わせをしてみて、自身の正当性をうったえてみる必要があります。
また、闇金との関係が続いているのであれば、他にも犯罪の片棒を担がされる可能性があります。なるべく早く、闇金業者との関係を断つことをお考え下さい。
闇金業者に口座を渡すとデメリットがとても大きい
闇金業者に口座を渡してしまうことで、今後銀行口座を持つことが出来なくなり、生活が困難になってしまう恐れがあります。
警察に逮捕されてしまう方もいるため、闇金業者から口座を要求されても、渡してしまわない様にお気を付けください。
以上、闇金の口座買取はリスクしかない|口座凍結は全銀行に及び、逮捕者も…という内容でした。
この記事の監修者